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天動説・地動説

地球が太陽の周りを回る惑星の一つであることは、今さらいうまでもなく、誰もが知っていることだ(といいつつ、最近の小中学生は知らない人も多いようですが)。

でも、ほんの数百年前までは、こういう考え方自体が「神への冒涜」であるとされていた。というのも、キリスト教においては、神が創りたもうた世界(地球)が宇宙の中心であり、地球を中心に他の天体が回るという「天動説」が説かれていたから。一方、地球が太陽の周りを回るというのが「地動説」だ。

天動説と地動説の対立に関し、最も有名なエピソードは、おそらくガリレオ・ガリレイの言葉だろう。科学的な根拠に基づいて地動説を説いたガリレオは、ローマ教会によって宗教裁判にかけられ、教会の強大な力の前に、自らの説を放棄してしまう。そのときに「それでも、地球は動いている」とつぶやいた、とか。まあ、実際はそんなことは言っていないという話もあるけれど(それどころか「地動説なんて説いてない」と言ったとかなんとか…)、ともあれガリレオは、それから幽閉されたまま生涯を終えることになる。ようするに、危険分子とみなされたわけだ。

このガリレオの不名誉が回復されたのは、実は、つい最近のことだ。1992年、ローマ法王ヨハネ・パウロⅡ世が、ガリレオを迫害したローマ教会の過ちを、初めて公式に認めたのだ。350年もたって今さらという気もしなくもないけれど、これは非常に画期的な出来事だ。というのも、裏を返せば1992年まで、ガリレオは、今やまごうことなき真実である地動説を説いたことで、宗教的な「罪人」とされていたわけだから。

ヨハネ・パウロⅡ世は、絵空事になった宗教的宇宙観にしがみつくことをよしとせず、宗教と科学の共存の道を示された。これを含め、法王が尽力された様々な活動は、キリスト教にとどまらず世界中に大きな影響を与えたものと思う。

私は特定の宗教を持たないが、宗教の枠を越えた偉大な指導者の死去に、心から哀悼の意を表したい。

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Comments

国際政治は、世界三大宗教(キリスト・ユダヤ・イスラム)の力関係と密接な関係があって動いているから、その指導者の動向いかんによっては、多くのひとの命が失われたり、逆に助かったりすることも少なくないんですね。
ユダヤ系の政治家がちょっと行き過ぎた行動をとったときに、ローマ法王があえてイスラム教の指導者を訪問して握手してみせて牽制するとか、そういうことがわりと大切だったりします。宗教って、じつはすごくリアルなんですね。日本にいると分からないけど。
わたしは無宗教ですが、日本の葬式仏教などをみると、あまりに現実世界から乖離していて、こんなんでいいのかな、と思うことがあります。すくなくともローマ法王は、暗殺される危険を覚悟で他宗教との対話をしながら、具体的に世界の平和に貢献するという命がけの行動をしたひとですから、それにくらべると、日本で見聞きする宗教の世界があまりに「ひきこもり状態」なのは違和感をおぼえます。

Posted by: シン | Apr 07, 2005 at 05:15 PM

シンさん、こんにちは(^^)
日本は宗教を持たない人が多いですが、ヨーロッパなどでは、そういうのが理解できない人もいるそうですね。で「神を信じないなんて野蛮人だ」よばわりされることがあるとか…。宗教は道徳のベースなので、しつけにも密接にかかわっているみたいですしね。(って、ホントのところはよく知りませんが、聞いた話では)
そういうヨーロッパや、カトリックを国教とする国々においては、法王がなくなられたことは、私たち日本人が思うよりもはるかに重い意味を持つ出来事だろうと思います。
宗教の自由が保障され、また、何とはなしに八百万の神の存在が息づく日本が、私は好きですが、モラル・道徳が失われつつある今、宗教感が薄いということが後深刻な問題になるのかもしれない、とも思っています。
(だからといって、何か特定の宗教が力を持てばいいとも決して思わないのですが)
宗教というのは、強い支えになりますよね。時々、そういう基盤を持つ人をうらやましく思うことがあります。自分自身に確固たる何かを持っていれば、また別なのでしょうけれど。
・・・って、関係ない話になってしまいましたね(^^;)

Posted by: Comana | Apr 07, 2005 at 11:01 PM

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